



高校時代のクラスメイトからお誘いが来て歴史物語を拝聴してきた。
会場はJR横須賀駅の横にあるウエルシティー市民プラザの横須賀市生涯学習センターの一室。講師は郷土史を研究している弟君。テーマは『帝国ホテル・ライト館建設に参加した地元横須賀の土木建設請負業「長浜組」の子孫が語る建設秘話。』だった。
初代帝国ホテルの開業は明治23年(1890年)と大変歴史が古い。開業はしたものの順風満帆とは行かなかったようだ。フランク・ロイド・ライトが設計した作品は立て直しの切り札だった。そのフランク・ロイド・ライトが設計した帝国ホテル新館の工事にクラスメイトの先祖が携わっていた。今から1世紀以上前の話になる。
立て直しのために渋沢栄一、大倉喜八郎らの期待に応えて第7代目(日本人3人目)の支配人になったのが林愛作だった。林愛作は明治6年生まれ。10代で渡米。ウイスコンシン大学に学び、その後ニューヨーク山中商会に入社。その頃フランク・ロイドと知りあった。この林と結婚したのが長浜組(長浜佐一郎社長)の次女多嘉子。クラスメイトはこの長浜家の子孫にあたる。林は夫婦でアメリカに渡り、ロイドに新館の設計を依頼し、大正8年に建設が始まる。この時、林の奥様の実家が「長浜組」という土木建築請負業だったということもあり、新館建設に携わることになった。帝国ホテル新館建設に横須賀の会社が参画していたなどという話は聞いたことが無かったのでとても新鮮な感じがした。1世紀も前の物語を沢山の写真と資料で解説してくれた。現在、ロイドの設計した当時の帝国ホテルの建物の一部は国の登録有形文化財として愛知県の明治村に保存されている。