庭の中央にガーデンゲートがある。初めはこの場所にあった訳ではない。たまたまここに蔓ものを植えてしまったために、蔓を絡ませるつもりで移動した。その蔓ものとは「むべ」。本来は垣根などに這わせるのが良いのだが、生憎適当な垣根がなく、やむなく、このゲートに這わせることにした。そうこうしているうちに、むべとは違う葉が並ぶようになった。しかし、どこかで見たような蔓植物。初めは何か分からなかったが、今年の夏に時計草が咲いて正体が分った。かくて一つのアーチに2種類の蔓がからむことになってしまった。
「むべ」は最近、無病長寿の果物として俄かに脚光を浴びるようになった。その昔、天智天皇が狩りに滋賀県の近江八幡に行った時、8人の息子を持つ老夫婦に出会う。老夫婦があまりにも元気がよいので天皇が何故か尋ねる。すると無病長寿の果物を食べているからと言って、天皇に「むべ」を献上する。その時、賞味した天皇が「むべなるかな」と言ったことから呼ばれるようになったという言い伝えがある。
この伝説の果物、残念だが、今年は秋になっても実が成らない。もう暫く様子を見てみたい。ひょっとすると時計草との同居がいけないのかもしれないので。