再び下田港に戻り、いつものサンバード桟橋に向かったが、桟橋は係留艇でいっぱいだった。見ると桟橋には北海道からやって来たヨットが未だ係留されていて、そのデッキにカンカン帽を被った人が横抱きの合図をしている。北海道から来たヨットオーナーかと思ったらWさんの知り合いだった。
下田はオーナーのWさんの生まれ故郷。今でも港から少し離れたところの大きな敷地の中に土蔵と温泉がある。時々メンテのために下田に通っているのだ。その生家の側の知り合いが桟橋に迎えに来るとは聞いていたが、その知り合いの一人が横抱きの指示を出していたのだ。
Wさんの知り合いは2人でやって来ていた。その2人が自宅から運んできた昔懐かしいかき氷の機械を公園の道端に出し、桟橋についた我々に是非、食べてくれとガリガリとかき氷を作ってくれた。ヨット人生30数年で初めての歓迎スタイルだった。かき氷屋さんだと思ったらそうではなく、言わば趣味。昔ながらのかき氷だったが、今年初めて食べた。
そして、僕が下田から帰ると分かると、車で下田駅まで送ってくれた。ヨットで出会う人たちはどうして皆、親切なんだろう。また新しい出会いを体験した。
2017年09月
下田再び




KINUGASAにはPCが何台も積んである。ナビゲーションのためのもの、天気予報のためのものなど使い分けている。天気予報では伊豆半島を西側から回り込み、先端に行くとお天気が急変して東の風がかなり強くなる予報が出ていた。安良里から妻良までの段階では風が穏やかで波も殆どなかったので、半信半疑でいたが、鰹島を越えるあたりから確かに強烈な風が吹いてきた。波も高い。石廊崎で東の風に吹かれてはまっすぐ前から風が吹いてくることになる。風速計を見たら30ノット近い。自然界はこれだから恐ろしい。今までニコニコしていたWさんが真剣になってラットを握った。Sさんが大揺れに揺れるキャビンに入ってチャートを見て岩礁の位置を確かめ、タックを繰り返して下田港に向かった。流石ベテランの人たちだと感心してしまった。僕だったら到底こんなきめの細かい走りは出来ない。
石廊崎では良くある海況だ。その昔、同じような条件の時に、機走で下田港を狙ったら、メインセールがズタズタに切れてしまった思い出がある。メインセールが少々くたびれていたとはいえ、どんな時にでもヨットは風を生かして走るものだと痛感した。
石廊崎では悪戦苦闘したが、無事、下田港に又戻って来た。僕は時間の都合があったので下田~三崎のレグを残して下船した。久しぶりにヨットに乗せてもらい楽しいクルージングが出来て今年は大満足。
妻良・子浦




「あうん」を安良里港に係留したてはよくデークルージングで妻良に入った。当時は未だ防波堤も整備されていなかったので、漁船の横に止め、1泊しようと思っていたら、漁師さんが明日は「西風が強くなる。出られなくなるぞ!」と言われ慌てて出港した覚えがある。漁師さんのアドバイス通り翌日は西風で大荒れになった。
その妻良にその後も何度も行ったが、かなり前に港が整備され、以前と比べればプレジャーボートも入りやすくなった。シーズン真っ盛りに入港しようと思って入って行ったら岸壁が満杯。やむなく母港に戻ったこともある。その後、ここに入るとお金を取られるという話が流れて評判が悪くなったが、僕は一度もお金を取られたことがなく終わった。
今回は妻良港に入る前に子浦に入った。僕は今まで子浦には入ったことがあるが係留したことはない。その昔「ひなの」が子浦の話をしてくれたので興味を持ったが、どこに止めて良いのか分からなかったのでその後は行ったことがなかったが、KINUGASAもその昔、子浦に泊めた思い出があり、Wさんが楽しそうに話してくれた。
そして、久しぶりに妻良港に入った。KINUGASAのメンバーは未だプレジャーボート用の泊地が整備されていない時代の情報しかなかったから新しい泊地を見て大変喜んでくれた。
港の情報は刻々と変化する。クルージングに行く船は出来れば最新情報を持っていると安心できる。
堂ヶ島沖で
安良里港を出て次の目的港、妻良、子浦へ行くためにまた駿河湾を南下。駿河湾はますます湖のごとく静まりかえっていて、揺れない気持ちのよい走りができた。沖に1ぱいヨットが見える。ハルが黒く見える。しかし、よくよく考えたら安良里のTURTLEに違いない。でもTURTLEのハルはブルーだ。Wさんが海の反射で黒く見えると言うので沖にいるヨットにKINUGASAのバウを向けてもらった。
下田で夕食を食べた折、予約した店「Page One」はTURTLEのオーナーさんの紹介で予約もしてもらったからだ。初めはTURTLEが併走している感じだったが、堂ヶ島の方にバウを向けたので早めにミーティングできた。案の上、側に来たらハルはブルーでシングルハンドの
TURTLEだった。お店を予約していただいたお礼と皆が満足した報告をした。
その後TURTLEは松崎に入ったと連絡をいただいた。大病をした後のリハビリ中だが、頑張っている姿勢に感動!潮ぽいオーナーさんだ。
懐かしの安良里
駿河湾はまるで湖の様に静まりかえっていて、風も余りなかった。途中でラットを僕が握った。安良里港の灯台を右に見て進入。入口のテトラポットが張り出していて、近づくと危険。先ずは係留されているヨット群の水路にバウを向けた。先日ご夫妻で瀬戸内海を周ってきた「あぶさらーむ」の後ろを通り、続いて安良里港の奥に係留されている光進丸まで行き、Uターンをして入口に戻った。
下田のイタリアンの店「Page One」を紹介してくれた「TURTLE」は出ていた。そう言えば駿河湾に1艇ヨットが走っていたが、そのヨットがそうだったのか。
最近、港の岸壁の大工事をやっていると「あぶさらーむ」のオーナーから聞いていたが、満潮になると水浸しになる岸壁の高さを上げる本格的な工事が行われていた。数年前に調査が行われていて、すぐ工事が行われるのかと思ったら、4~5年かかっているからやっと予算の手当てが出来たのだろう。
KINUGASAのメンバーは「本当に油壺みたいだね!」と感嘆の声を上げた。確かに安良里港に一度係留すると分かるがこんな静穏な海はめったにお目にかかれない。